ノムさん逍遥-43

| コメント(0) | トラックバック(0)

慶応大学病理部の向井万起男先生(宇宙飛行士の千秋さんのhusband)が'大リーグ大好き'というコラムを朝日新聞に連載されています。SABR(Society for American Baseball Research)の会員としては、いつも先生に負けないくらいの大リーグネタを持たねばと思うのですが、いつもその博学に感服させられます。今日のコラムは、大リーグに導入された、そしてされようとしているビデオ判定のものでしたが、かいつまんで言うと、ストライク・ボールの判定が一定でないものに、その結果産まれたホームランか、フェアかファールかという判定をビデオでする意義があるのかという話題でした。それであるならば、ストライク・ボールの判定もビデオでするべきという議論になるわけですが、そこで先生はエンジェルスやツインズで何度も首位打者をとったロッド・カルーのエピソードを引き合いに出して、やんわりとそれを否定されています(そこまでやったら、野球じゃなくなるよ。野球は人間がやってんだ)。

これを医療の臨床研究に当てはめてみますと、例えば手術適応が一定でないものに手術件数や術後成績を比較して意義があるのかということになるかと思います。確かに膝OAに対する人工膝関節の手術適応を厳密に述べよと言われて、世界的にコンセンサスの得られる回答はないということを考えれば、ストライク・ボールと似たようなものという感じもします。適応は、広げればいくらでも件数は増やせますし(ストライクもある程度は増やせます。相手の抗議がたいしたものでなければ。そして同じ審判でも日によってストライクゾーンは違うとも言います)、術後成績にもそれは影響します。従って、臨床研究もまずこの辺りをしっかりする必要があるように思われます。でも、それが厳密でないのが、野球と同じで人間と人間の間で行われる行為であるということも医学の真実・魅力であるように感じます。ノムさん

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.naraseikei.com/mt/mt-tb.cgi/68

コメントする