ノムさん逍遥-51

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昨日まで名古屋での第70回日本癌学会に参加してきました。この学会からは大学院生のころからいつも知的刺激を大いに受けてきました。それは今も変わりませんが、いろいろとその時代の医学研究の問題点を見直すよい機会にもなります。日本癌学会誌は1990年代に国際誌になるべくそれまでのJap.J. Cancer Res. (Gann)から判型も変更してCancer Science (現在の日整会英文誌Orthopedic Scienceのモデル?)に、そして4年前から英語での抄録と英語セッションの導入など、国際化を図ってきました。今回の学会では、小生のセッションも含め、口頭発表の60%は英語でのセッションになったとのことで、シンポジストはじめ質問に立たれていた先生方の流暢な英語力にはとても感嘆しましたし、他の学会に比して外国人、とりわけアジアの人たちが数多く参加・発表されていたことは、この学会の持つ魅力を大きくしているように思いましたが、ディスカッションが幾分表層的になることはやむ得ないかとも思われます。ただ、東大が国際化を図るため秋入学、英語での授業導入などに舵をきる中、今後いろいろな学会でもこのような動きがかまびすしくなるように感じます。

我が国のがん研究は、山極勝三郎先生の研究に端を発し、吉田富三先生などを祖に世界に先駆ける研究成果を誇ってきましたし、今もそれは受け継がれていると感じますが、パネル・ディスカッションで中村佑輔先生が指摘されていたように、我が国発の分子標的抗癌薬はなく、薬・医療機器も含め我が国は輸入超過の状態が拡大する一方であるようです。世界に冠たる基礎研究をどのように臨床に生かしていくかという戦略は科学者の手だけではできるものではありません。ジェネリックばかりを奨励する国策では、莫大な費用をかけて新薬を開発する意欲はそがれても仕方ありません。

最後に全くの印象で確たるエビデンスはありませんが、臨床医の参会者の減少傾向を少し感じました。基礎的な研究も細分化され、なかなかそれぞれの専門分野をcatch upすることは困難ですが、やはりMDの基礎研究離れが進みつつあるように感じ、ここでも臨床研修制度の導入が、若人の基礎研究への興味を完全にそぐのに一役買っているのかなと思われます。ただ、患者さんを目の前にし、解決すべき問題をじかに抱えている臨床医の基礎研究への貢献は、医学研究には必須のものであると思います。今後、医師不足の隠れたB面であるこの問題をどのように方向づけるかということも、医学教育の大きな課題あると思われました。

Apple社のSteve Jobsさんの訃報が大きく報じられる中、英国のフォーク歌手Bert Janschの訃報が小さく報じられていましたhttp://www.youtube.com/watch?v=Y6ymZDtgV58&feature=related。 南無さん、呑むさん

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