呑むさん逍遥-53

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先日のシカゴでの学会の帰路オヘア空港で手に取ったUSA Today紙に、Big cat絶滅の危機という記事が出ていました。Big catとは、この地上に生息するライオンや虎、チーター、ピューマやクーガーなどの大型猫類のことです。驚くことにこんなにも阪神タイガースのファンが多いのに(自身はフィリーズとバファローズですが)、そのほんものの虎自身が3,000~5,000頭しかこの地上に生息していないとは、もはやそのチーム名は孫の世代には架空の動物に由来するものになりかねないのかと驚きました。そして、その絶滅は食物連鎖の危機につながり、草食動物による植物の食べつくしにつながる地球規模の危機であるということにもその記事は触れていました。いったい、我々はこの地球を守れるのでしょうか?

このところ痛みの治療や骨粗鬆症、RAなどで新規の、あるいは既存の薬物の適応拡大により、我々が専門とする運動器の治療分野にも他分野の介入がかまびすしくなってきています。多くのがんやRAに代表される分子標的薬の開発が関節症などにも及ぼうとしてきています。思えば、麻酔学と材料学の進歩により、運動器診療の分野も著しい発展を遂げ、その言葉もOrthopaedicsからOrthopaedic Surgeryへと変貌を遂げてきました。それでも、国際外科医学博物館の整形外科学分野の展示では、手術器械の発展とともに義足をはじめとする装具の進歩も同列で展示されています。昨今は何が何でも手術という治療が運動器治療の主流であるような錯覚を抱かせていますが、他分野の進出を前に本当にそれがpatientの望むものであるかということを再認識する必要があるように感じます。自己の体を切ってほしいという患者さんは外傷や生命にかかわるものでない限りは本来むしろ少数派であるように思われます。今後の医生物学の進歩は、おそらくそういった患者さんの望みに答えるという方向に進むと思われます。となると分子標的薬に代表されるように分子生物学的な知識に乏しい外科医は確実に時代から取り残されてしまうという可能性もあります(少なくともRAや骨粗鬆症治療においては、現実となりつつあります)。

最近の若い先生方のギプスの巻き方を見ると、医学的・造形学的・美術学的すべてにおいて不合格であるように感じます。もう少しOrthopaedicsの観点から保存的治療にも眼を向け、患者の欲求に答えねば、他人(柔道整復師など)を批判する資格さえなくなるように思われますが、いかがでしょうか? 呑むさん

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