呑むさん酩酊-70

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わずか3日間の岩手県陸前高田市・県立高田病院での医療支援が終わった。支援という言葉はやや上から目線的で、いささかおこがましい。実際のところ、震災津波の被害を潜り抜けてきた病院のスタッフ、患者さんからはこちらが教えられることのほうがはるかに多いと感じた。被災現場や三陸の海岸を案内してもらい、この美しい自然がひとたび牙をむいた時の自然の猛威、その恐ろしさを改めて感じ、人間も自然の一部であり、自然の力を謙虚に受け入れねばならないと再認識させられた。ただ、それ以上に、スタッフや患者の皆さんからは、人間の強さも自然の力に負けないくらい強いということを学ばせていただいた。院長をはじめ数多くのスタッフは、自らも家族あるいは住む場所などを失われた被災者であるのに、患者さんを前にしてはそれをあからさまにはできない。ゆえに陰で流された涙を思うと胸が詰まる。翻って、自分も同じようにできるかと問うてみるとはなはだ情けない気持ちになる。

被災現場は、現在でも凄惨極まりなく、とても物見遊山的に写真に収める気持ちにはなれなかったが、唯一地元の人たちの希望につながっている奇跡の一本松の写真だけは収めることにした。今は根腐れをおこして、近ぢか人工的な保存処理を要する状態になっているそうだが、その姿は健気であり、人々が癒され希望を託するのも想像するに難くない。

希望の一本松.jpgこれ以外の光景は、全てまぶたの裏に焼き付けるだけにして、この町が復興した時に再び訪れて重ね合わせることができればと思う。院長の'医療が崩壊すれば人は離れる、医療が立ち直れば人は安心する'の言葉通り、この病院が復興の中心となって、また以前のように美しい街に生まれ変わることを祈ってやまない。 愚呑坊

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